2025年8月18日、大阪・道頓堀で発生した大規模火災は、多くの建物を巻き込み、2名の消防士が殉職する痛ましい出来事となりました。
現時点で出火原因は警察と消防によって調査中ですが、過去の繁華街火災の事例を参考にすると、いくつかの有力なシナリオが浮かび上がってきます。
出火元はビル1階の室外機か
報道によると、延焼した2棟のビルのうち西側のビルに設置された室外機が激しく燃えており、出火元である可能性が高いとのことです。


出火原因は不明
大阪市消防局によれば、火災現場では現在も鑑識活動が続けられており、正式な出火原因は明らかになっていません。

室外機から出火とはあまり聞いたことがありませんね。
一体どういう原因で、室外機から出火するのでしょうか。
室外機が出火元になる原因の可能性はこの4つ
室外機から出火する原因4つを表にまとめました。
原因 | 具体例 | 発生しやすい状況 |
---|---|---|
電気系統の不具合 | ・配線の劣化や接続不良によるショート ・絶縁被覆の破損やホコリによる発火 ・コンプレッサーやモーター部の過熱 | ・古い室外機 ・長年メンテナンスしていない場合 |
埃やゴミの堆積 | ・ホコリ、落ち葉、油煙が内部に溜まり熱がこもる ・電気火花や過熱部分に可燃物が触れて発火 | ・飲食店街や粉じんが多い場所 ・掃除不足の室外機 |
冷媒ガスやオイルの漏れ | ・配管破損や劣化でガスやオイルが漏れる ・漏れたオイルが加熱 ・火花で引火 | ・劣化が進んだ室外機 ・点検を怠っていた |
周囲環境の影響 | ・室外機の近くに段ボールや可燃物を置く ・飲食店街で油や煙が付着 ・隣の火が燃え移って「室外機から出火したように見える」ケースも | ・狭い路地や飲食店街 ・周囲に可燃物が多い環境 |

ふだんからの点検や清掃が行き届いていないと、出火の原因になるんだね
歌舞伎町火災との共通点はある?
雑居ビルでの大規模火災というと、2001年に歌舞伎町で起こった火災を思い浮かべる人も多いでしょう。
筆者は、はしご車が多数出動し、消火作業にあたったニュース映像を今でも鮮明に覚えています。

2001年9月1日未明、東京・新宿歌舞伎町の「明星56ビル」で発生した火災と今回の道頓堀火災を比較しました。
項目 | 道頓堀ビル火災 (大阪・2025年8月) | 歌舞伎町ビル火災 (東京・2001年9月) |
---|---|---|
発生場所 | 大阪市中央区宗右衛門町 (道頓堀沿いの雑居ビル) | 新宿区歌舞伎町 ・明星56ビル |
建物構造 | 6階建て・7階建ての雑居ビル(飲食店街、外壁沿いに室外機あり) | 地下2階~地上5階の雑居ビル(麻雀店・キャバレーなど入居) |
出火原因 | 室外機付近が出火元の可能性(電気系統の不具合や油・埃の影響を調査中) | 放火の可能性が高い (ガス漏れ・機械不良は否定) |
被害規模 | 約100㎡を焼失 | 全館炎上、死者44名・負傷3名 |
死傷者 | ・消防士2名が殉職(酸欠) ・消防士4名と女性1名が負傷 | ・主に利用客44名死亡(煙・一酸化炭素中毒) ・負傷3名 |
火災拡大要因 | ・ビル密集地で延焼しやすい ・外壁に設置された室外機から火が広がった可能性 | ・避難経路が1つしかなく封鎖 ・ 火災報知器の電源OFF ・ 防火扉が塞がれていた ・ 防火管理体制の不備 |
消防活動 | 大規模出動、ビル内部で活動していた消防士が殉職 → 安全管理体制が議論に | 消防出動も間に合わず、多数が逃げ遅れ → 「避難・防火体制の欠如」が社会問題化 |
社会的影響 | 大阪市が事故調査委員会を設置、設備点検・雑居ビルの防火安全対策見直しへ | 消防法・建築基準法改正(2002年)、防火管理責任の強化、雑居ビルの規制強化へ |
- 繁華街の雑居ビル火災であった
- 火元がビル外壁や内部から急速に拡大
- 避難・防火体制の不備や建物構造が被害を拡大
- 火災後に 行政・法制度の見直しにつながった
今回の道頓堀での火災も防火体制の不備や建物構造の問題があった可能性が高そうです。
背景にある建物の問題
2023年の点検で、今回の火災現場となった建物には火災関連の法令違反が複数確認されていたと報じられています。
自動火災報知器が一部で取り付けられていなかったり、年に2回以上の実施が求められている避難訓練が行われていなかったりするなど、6項目で法令違反が指摘されていました。
避難経路の不備などが指摘されており、火の広がりを防げなかった背景要因になった可能性があります。
消防士2名の死因は酸素欠乏
報道によると、今回殉職された大阪市消防局の森貴志小隊長(55)と、長友光成隊員(22)の死因は、酸素が足りなくなったことによる窒息死だったことがわかりました。
「小型タンク小隊」として、30代の消防士とともに防火服を着用し、酸素ボンベを装備して火災現場に入り、逃げ遅れた人がいないかを確認していました。
その最中に建物が崩落し、逃げられなくなったものと思われます。
道頓堀火災の火元に不信感を抱く声も
SNSでは、今回報道された「室外機が火元の可能性」について、さまざまな意見が交わされています。
道頓堀の火災、火元は色々な動画から焼肉屋から出火した可能性が高いな。道頓堀側からだと1階、宗右衛門町側からだと半地下か地下1階にあたる。写真は2023年12月に撮ってた写真から。この火災で壁面広告に何らかの禁止項目が出来るかもね。 pic.twitter.com/WTTmK2Zapw
— K.Shigematsu (@shigemac) August 20, 2025
- 原因の火元がクーラーみたいですね。でも、不自然なのが防火管理者もしくは、統括防火管理者がいるはずです。わたし消防設備士も資格持っているので、この火事の不自然さを理解できます。
- 道頓堀ビル火災、現時点で火元とされているエアコン室外機なんだけど、発火だとしたらこあい。
- 雑居ビルはあぶないのだが、火元が気になります。放火だったら許せません。
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