名古屋市西区で発生した主婦殺害事件で26年ぶりに容疑者が逮捕され、大きな話題となっています。
犯行現場の状況や容疑者・安福久美子(69)の人物像や生い立ち、そしてDNA鑑定によって事件がどのように解明されたのか――。
この記事では、安福容疑者の生い立ちや、事件の発端から逮捕、捜査の経緯、報道で明らかになった事実を時系列でわかりやすくまとめます。
安福久美子(やすふくくみこ)の生い立ち
安福久美子容疑者は名古屋市港区出身で、1956年生まれの69歳です。
幼少期の情報は現時点で確認できませんが、名古屋の公立中学や高校を卒業している可能性が高く、地元の生活に根ざした人物です。
安福久美子は被害者の夫の同級生
安福久美子容疑者は、被害者・高羽奈美子さんの夫である悟さんと高校の同級生でした。一部のネット上での情報では、惟信高校を卒業しているとされています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 学校名 | 愛知県立惟信高等学校 |
| ふりがな | いしんこうとうがっこう |
| 所在地 | 愛知県名古屋市港区惟信町2-262 |
| 設立年 | 1925年(大正14年) |
| 最寄り駅 | 名古屋臨海高速鉄道あおなみ線「荒子川公園駅」 |
2人は同じソフトテニス部に所属し、安福久美子は「まじめで控えめな性格」として知られていたといいます。
安福容疑者は、高羽悟さんに好意を持ち、バレンタインにチョコを送ったり、ラブレターや告白もしています。一方で高羽さんは安福容疑者の気持ちを受け入れることはなく、交際にはいたりませんでした。

安福久美子容疑者の高校の同級生は「おとなしい印象だけど、人柄はいい。山口さん(安福容疑者の旧姓)を好きになる男子がいてもおかしくない」と語っています。
つまり、安福久美子容疑者の高校時代は、高羽悟さんにはフラれたけれど「男性から好意を寄せられるようなかわいらしい人」だったということです。
安福久美子の実家はお金持ちで教育熱心
安福久美子容疑者は、高校を卒業後は高羽悟さんとは別の大学に進学したとされており、実家は裕福だった可能性が高いです。
現在と違い、安福容疑者が大学に進学した1974年ごろは「大学に進学する女性は少数派」でした。
1974年ごろの大学進学率:男性が約40%、女性は約12%
当時の大学進学は勉強ができることはもちろんですが、大学の学費を払えるかが大きなネックとなっていました。
特に女性の場合は、「結婚したら寿退社だから大学はいかなくてもいい」という考え方が主流でした。そんななか、安福容疑者が大学に進学したということは、実家が裕福で教育熱心だといえるでしょう。
大学時代は高羽悟さんのテニス応援
安福久美子容疑者は、高羽悟さんの大学へ行き、テニスの試合を度々応援していました。
高羽悟さんの妹によれば、
大学時代、安福容疑者が大学まで追っかけて、その後、喫茶店に連れて行って、泣かれてえらいことだった
と高羽悟さんから聞いたとのことです。悟さんはすっかり忘れていたのですが、安福久美子容疑者は大学時代も諦めずに悟さんにアプローチしていたことがわかります。
安福久美子の結婚
安福久美子容疑者が結婚した時期は公表されていませんが、1980年以降だと思われます。
安福容疑者は大学に進学したという情報があり、卒業後しばらく会社勤めをして結婚したとすれば、結婚した年齢は24歳ごろが有力です。
したがって、1980年以降に結婚し名古屋市港区の現在住む自宅に引っ越してきたものと推測できます。


安福久美子容疑者の自宅は立派な一軒なので、嫁ぎ先は裕福な家庭だと思われます。
安福久美子の家族
安福久美子容疑者の家族は、夫と息子で名古屋市港区の自宅で一緒に暮らしていました。
近所の人の話では、「ご主人は自転車で出かけているのを見かける。奥さんは見かけないので一人暮らしかと思った」とのことなので、家族で外出することはないのでしょう。
息子さんも30代だと思われるので、すでに結婚し独立しているかもしれません。そうなるとお孫さんがいるのかも気になりますが、正確な情報は見つかりませんでした。
自身の家族関係があまりうまくいっておらず、悩みを抱えていた時期にかつて恋をした高羽さんの幸せそうな結婚生活の様子を聞き、犯行動機に至った可能性は否定できません。
安福久美子の仕事はスーパーの事務員
2025年10月の逮捕当時、安福久美子容疑者は名古屋市内の大手スーパーで事務員として働いていたことがわかっています。
安福久美子容疑者は正社員ではなく、アルバイトとして勤務していたので、自宅のある名古屋市港区近辺のスーパーで働いていた可能性が高いでしょう。
名古屋市港区の大手スーパーとしては次のようなところがあります。
| 店舗名 | 住所 | 備考 |
|---|---|---|
| イオンスタイル 名古屋茶屋 | 愛知県名古屋市港区西茶屋2-11 | 大手チェーン「イオン」系列。港区最大級のショッピングモール併設。 |
| ベイシア Foods Park 名古屋みなと店 | 愛知県名古屋市港区一州町1-3 | 「ベイシア」グループの大型スーパー。 |
| ロピア 名古屋みなと店 | 愛知県名古屋市港区砂美町1-5(名古屋みなとショッピングセンター2F) | 関東発「ロピア」の愛知県内店舗。肉・総菜が人気。 |
| アオキスーパー 木場店 | 愛知県名古屋市港区木場町2-36 | 名古屋発祥の老舗スーパー。価格重視・地域密着型。 |
| カネスエ 木場店 | 愛知県名古屋市港区木場町8-51 | 愛知県一宮市本社。生鮮食品の安さとボリュームで人気。 |
| ヤマナカ 当知店 | 愛知県名古屋市港区当知2-401-1 | 名古屋本社のチェーン。品質・接客の良さで地元支持が厚い。 |
事件のあった1999年当時、安福久美子容疑者はコンビニで働いていたという情報もあるため、人柄の良さを生かして、接客業を長く続けていたと思われます。
安福久美子は事件後も変わらず生活
事件後も名古屋市内でアルバイトを続けながら静かに生活しており、近隣住民からは「明るく挨拶をする普通の人」という印象を持たれていました。
事件の前年(1998年)には同窓会で再会し、悟さんが家庭を持ち幸せに暮らしていると知った安福久美子容疑者は、「自分も仕事と家庭を両立して頑張っている」と語っていました。
しかし、安福久美子容疑者の人柄には二面性があったとも言われています。
周囲の証言では、「感情の起伏が激しい」「ときどき口論する声を聞いた」との声もあり、内面には強いストレスや不満を抱えていた可能性が指摘されています。
1999年の事件当時、コンビニで働いていた安福久美子が、なぜ主婦殺害という凶行に至ったのか――その背景には、金銭トラブルや人間関係のもつれがあったと見られています。
安福久美子容疑者の顔画像やSNSについては、安福久美子インスタ顔画像「優しさの裏に潜む影ある美人」名古屋主婦殺人事件で詳しく解説しています。
名古屋市西区で起きた主婦殺害事件とは【事件の概要】
1999年11月13日、名古屋市西区稲生町のアパートで主婦・高羽奈美子さん(当時32歳)が何者かに刃物で襲われ、命を奪われました。

現場には血痕や靴跡など多数の証拠が残されており、事件直後には、稲生公園で血のついた手を洗う中年女性が目撃されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 事件名 | 名古屋市西区主婦殺害事件(安福久美子事件) |
| 発生日時 | 1999年11月13日 午前11時頃 |
| 発生場所 | 名古屋市西区稲生町のアパート |
| 被害者 | 高羽奈美子さん(当時32歳・主婦) |
| 容疑者 | 安福久美子(逮捕時69歳) |
| 事件の概要 | 高羽さんが自宅アパートで首などを刃物で刺され死亡。現場から血痕・靴跡など多数の物証が発見された。 |
| 目撃情報 | 事件直後、稲生公園で血のついた手を洗う中年女性(40〜50代・身長約160cm・B型・靴サイズ24cm前後)が目撃される。 |
| 事件の特徴 | 長期間の未解決事件→DNA技術の進歩で再捜査・逮捕に至る |
事件の発覚までの経緯
事件は、日常の一瞬に起きた予期せぬ惨劇として発覚しました。
高羽奈美子さんは、午前中に外出や電話対応など、いつもと変わらぬ時間を過ごしていました。
夫・悟さんが出勤したのは午前9時頃。その後、宅配便の不在票が入り、午前11時過ぎには近くの小児科を訪れていたことも確認されています。しかし、正午前後、アパートの住民が「タンスを動かすような大きな物音」と「階段を駆け下りる足音」を聞いています。
その後、大家が用事で訪れた際、無施錠の玄関を開けると奈美子さんが倒れており、事件が発覚しました。
現場には争った形跡はなく、机の上にはカップラーメンとみかんが置かれていました。突然の来客に対応した直後の犯行とみられます。

時系列でみる事件発覚までの流れ
| 時間帯 | 出来事・状況 | 関連人物・補足 |
|---|---|---|
| 午前9時ごろ | 夫・高羽悟さんが出勤 | 奈美子さんと2歳の長男が自宅に残る |
| 午前9時30分ごろ | 宅配便の不在票が投函される | 奈美子さんが外出していた可能性 |
| 午前10時20分・10時40分 | ママ友が電話をかけるが応答なし | この時点ではすでに在宅していなかったか |
| 午前11時10分ごろ | 奈美子さんが近所の小児科を受診 | 防犯カメラや診療記録で確認 |
| 午前11時40分ごろ | 近隣住民が奈美子さんの自転車を確認 | 帰宅後まもなく事件が発生したとみられる |
| 正午前後(昼頃) | 高羽奈美子さんが何者かに襲われ死亡 | 犯行時間帯と推定される |
| 午後1時までの間 | 住民が「タンスを動かすような大きな音」と「階段を駆け下りる足音」を聞く | 犯人の逃走時と推定 |
| 午後1時過ぎ | 大家が訪問し、応答がないため無施錠のドアを開ける | 奈美子さんが倒れているのを発見、警察に通報 |
| 事件直後 | 公園で血のついた手を洗う中年女性が目撃される | 特徴は40〜50代・身長約160cm・B型・靴サイズ24cm前後。後に安福久美子と一致 |
DNA鑑定の結果と捜査の進展
安福久美子容疑者が逮捕に至った決定的な要因は、最新のDNA鑑定技術による一致でした。
事件現場の玄関や廊下からは、被害者・高羽奈美子さんのものとは異なるB型の血痕と24cm前後の靴跡が発見されていました。警察はこの血痕から得たDNA型を保管し、長年にわたって再検証を続けてきました。
さらに事件当時の捜査でその血痕はアパートから約500メートル離れた稲生公園まで点々と続き、当時、手をタオルで覆いながら走り去る中年女性の姿が目撃されていました。
2024年、愛知県警は捜査対象者数百人のDNAを再確認する再捜査を実施。
その中の一人が安福久美子容疑者でした。当初DNA提供を拒否していた安福久美子容疑者は2025年10月に提出を了承。鑑定の結果、現場の血痕と一致しました。

安福久美子容疑者は「間違いありません」と容疑を認め、26年の時を経て事件は大きく動き出したのです。
犯行の動機|なぜ事件は起きたのか
安福久美子の犯行動機は、複数の感情と過去の因縁が絡み合った複雑なものでした。
高羽さんの夫・悟さんに対する好意や感情のもつれ
警察の調べによると、安福久美子は被害者の夫・高羽悟さんの高校時代の同級生で、同じソフトテニス部に所属していました。当時、安福久美子が悟さんに好意を寄せていたという証言もあり、恋愛感情のもつれが事件の背景にあった可能性が指摘されています。
悟さんによると、「バレンタインデーにチョコをもらった」「応援に来ていた」といった交流があったといいます。
高羽奈美子さんの母への逆恨み
一方で、もう一つの見方として、被害者の母への逆恨みも取り沙汰されています。
高羽奈美子さんの母親は、かつて健康食品の販売をめぐるトラブルで逮捕歴があり、安福久美子がその被害者だった可能性も浮上。直接面識のなかった奈美子さんに、母親の代償として怒りを向けたのではないかという見方もあります。

「金銭トラブル」かもしれない。奈美子さんのお母さんが薬事法違反で逮捕されたから、逆恨みとか?
いずれにしても、安福久美子容疑者の心の奥に潜んでいた「嫉妬」と「恨み」が、26年前の惨劇を引き起こしたと考えられています。
高羽悟の執念が犯人逮捕へ導く
高羽悟さんの26年に及ぶ執念が、ついに安福久美子の逮捕へとつながりました。
最愛の妻・高羽奈美子さんを奪われた1999年以降、悟さんは悲しみに沈みながらも、事件を風化させまいと闘い続けました。

高羽悟さんは、殺人事件の被害者遺族が集う「宙(そら)の会」に参加し、公訴時効撤廃の運動を主導。時効撤廃のビラを駅前配ったり、署名を集めたり、マスコミへの取材を受けたりするなど積極的に活動を続続けました。長男の航平さんも時効撤廃のため、父である悟さんとともに街頭に立ち、取材にも同行するなど幼いながらも懸命に父を支えています。

2010年、その努力が実り、殺人罪の時効はついに撤廃されました。
悟さんは「時効がなくなれば、犯人も逃げ切れない」と信じ、事件現場のアパートの家賃を26年間払い続け、“証拠の保管庫”として守り抜きました。支払ったアパートの家賃は26年間で総額2,200万円以上です。
2025年10月に警察の再捜査で現場の血痕と安福久美子容疑者のDNA一致が判明したとき、悟さんの長年の願いが現実となりました。
捜査員の交代も安福久美子逮捕に寄与
2025年に名古屋主婦殺人事件の捜査員が交代したことが、安福久美子容疑者逮捕へ大きく動いたという情報があります。
この捜査員の名前等の詳細は公表されていませんが、「若い人」だと悟さんが語っています。高羽奈美子さんの事件を未解決にはしないという強い信念で、捜査にあたっていたのでしょう。逮捕の一報を悟さんに知らせた捜査員は、涙ながらに「逮捕まで長くかかり申し訳ありませんでした」と謝罪しています。
延べ10万人もの捜査員を投入したこの事件。地道な捜査を続ける捜査員の強い思いがなければ、解決には至らなかったでしょう。
安福久美子容疑者の逮捕は、遺族の執念と信念、そして捜査員の熱意、このうちどれかが欠けてもなしえなかった、奇跡のような結果だったのです。
高羽航平さんの思いは
事件当時、2歳だった高羽航平さんは現在28歳となりました。安福久美子容疑者逮捕を受けて、次のように語っています。
まだ、警察から具体的な話が直接聞けていない、あまり実感はない。半信半疑みたいな感じで過ごしている。
引用:メーテレ
人生のほとんどを未解決事件の被害者家族として過ごした航平さん。犯人逮捕となっても、それを体感することはまだないのでしょう。

それもそのはず、安福久美子容疑者はいまだ犯行動機を語りません。なぜ母は亡くなったのか…その謎が解けない限り、航平さんの心のわだかまりがなくなることはないのかもしれません。
安福久美子は「家族に迷惑がかかるのが嫌だ」と供述
逮捕後の取り調べで、安福久美子容疑者は「家族に迷惑がかかるのが嫌だった」と供述しています。
「事件発生日が近づくと悩んで気持ちが沈んだ。家族に迷惑をかけられず、捕まるのが嫌だった」との趣旨を語る一方で、高羽悟さんや奈美子さんへの謝罪の声はまだありません。
捜査本部によると、事件発生から26年間の生活について、容疑者は「毎日不安で、事件に関する新聞も見られなかった」としており、安福久美子容疑者が背負ってきた重圧は計り知れません。
名古屋主婦殺人事件については引き続き取材をしています。新しい情報がわかり次第、追記してお知らせします。

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